2017年06月16日

立ち枯れあるいは虚しい名誉



???:「ゼノさん







ゼノックス:なんだ、弟か。

エィビス:……なんでわかるんですか。

ゼノックス:わかるよ。だから、弟のほうが少し声が低いんだって。あと、あんまり感情がこもってない。淡々としてる。

エィビス:さすがに気持ち悪いですねえ。まあ、貴方は音に頼ってるから仕方ありませんね。

ゼノックス:そういうこと。おれには通用しないし、エルシオの真似なんてやめたら?

エィビス:……そうですね。







ゼノックス:で? 弟は今日もおれを殺しに来たの?

エィビス:いいえ。しばらくは様子を見るって言いましたので。

ゼノックス:じゃあ何してるん。

エィビス:貴方の監視です。

ゼノックス:暇なんだな。またエルシオに怒られても知らんよ。

エィビス:……。気を付けます。しかし貴方、自分にこの間のような敵意は無いのですね。

ゼノックス:ん? おれは納得いくまで引かないけど、ちゃんと謝った子には優しいの。知らなかった?

エィビス:知りませんよ、そんなこと。












エィビス:……しかし貴方、さっきから何かしようとする素振りすら見せませんけど、普段は何してるんです?

ゼノックス:食って寝て遊んでる。

エィビス:人斬りの仕事は?

ゼノックス:嫌な言い方するな。……んー……。

エィビス:……?

ゼノックス:……。あんまり他人に言うつもりはなかったが、まあいっか。正直最近、昔に比べてやる気がない。色んなことがめんどくさい。

エィビス:……いいんですか、そんなんで。

ゼノックス:困らない程度にはやってる。いろいろと。ただまあ、前ほど情熱がなくなった、というか。







ゼノックス:前はもっとこう、男らしくなりたいとか、強くなりたいとか、金が欲しいとか、可愛い女いっぱい侍らせたいとか、目標や野望があってギラギラ燃えてたけど、残念ながら、最近はあんまり。

ゼノックス:人斬り欲、なあ。最近は割とめんどくさいな。まあやる気出たら仕事するけど。いや、仕事だからやるけど。

ゼノックス:目を取り戻したいと思ってもいたけど、もう、見えないのが当たり前。

ゼノックス:なんか、いろいろと、どうでもよくなってきた。







エィビス:……楽にしてあげましょうか?

ゼノックス:いらない。死にたい、殺されたいと思うほど死には飢えていない。とりたてて今死ぬ理由もない。惰性で、いつか死ぬまで生きてるだけだな。

エィビス:……そうですか。



ゼノックス:なんでこんなこと、お前さんに言う気になったんだろうな。

エィビス:さあ。自分もなんで、貴方の話を黙って聞いていたんでしょうか。

ゼノックス:奇妙なこともあるもんだ。

エィビス:ええ。まったくです。







ゼノックス:……エルシオには、言うなよ。心配するだろうから。

エィビス:……言えませんよ。

























エィビス:狂咲雪桜も、すっかり枯木のようです。

posted by 黒鳥なしら at 00:00| Comment(0) | 彼らの日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。