2016年11月20日

ことひと女教皇



エィビス:さて、何処にいますかね。性格悪いからこんな街中にはいないと思うんですがねえ。


























エィビス:……まあ、いるわけないですね。とんだ骨折り損でした。

エィビス:ああ、それにしても無駄に人間が多いですね。実に疲れます。だから街は嫌なんです。

エィビス:……帰りましょう。今は特に対象もいませんし。眩暈がしてきました。







???:そこのアンタ、ちょい待ち。聞きたいことがある。

エィビス:申し訳ないですが自分はこの街の住民ではないので何も分かりません。道ならその辺のガイドマシーンにでも聞いてくださ……え?

エィビス:(ちょっと待ってください。なんです、今の声。そんな……どういうことです)







冬水色の髪の少女:いや、そうじゃない。道のことなどどうでもいい。アタシはアンタに聞きたいことがある。

エィビス:……!?







冬水色の髪の少女:……なに? まるで幽霊でも見たかのような顔をして人のことを見つめて。そんなにアタシの顔が気になるの? 失礼な奴だね。

エィビス:……あ。

冬水色の髪の少女:あ?

エィビス:……アズサ……?

冬水色の髪の少女:……それ、アタシに言ってんの?

エィビス:……あ、いえ。すみません、知り合いにそんな人間がいたもので。そうですよね、違いますよね。えっと……それで貴方は?







冬水色の髪の少女:名前か? アタシはミズメ

エィビス:ミズメ、ですか。

ミズメ:……で、合ってるはず。

エィビス:何故自分の名前に確証がない言い方をするのです。

ミズメ:それはだな、実はアタシは一度死んで記憶がさっぱりなくなったようでね。気が付いたらどこかの湖のほとりに寝転がっていた。

エィビス:えっ?

ミズメ:そりゃあ死人が喋ったら驚くだろうけどさ。とにかくアタシは死んだ。名前は多分そんなんだった気がするんだけどねえ、それ以外がほんとさっぱり。死因もわからない。何でこうして立って動けて会話ができるのかもわからないね。







エィビス:いえ、そこじゃないです。貴方から生きた気配がしないので動死体と言われて納得できます。大体動死体リヴィングデッドなんて大陸だの島だの城だの行けば当たり前のようにいますので今更驚きません。

ミズメ:アンタのほうが何を言っているかわからないんだけど。

エィビス:……?

ミズメ:まあ、死んだ人間が動いてても不思議に思われない場所なんだってことにしておこう。それでアタシは状況を把握するためにこの街までやってきてだな。

エィビス:ちなみに、どこの湖に転がっていたのでしょうか?

ミズメ:ん? 湖? ああ、悪い。ここ辿り着くことを考えてたから、どこからきたかまでは気に留めていなかったな。てかまだここがどういうところなのかもわかってないんだけど。

エィビス:そうですか。







ミズメ:それでアンタを見かけたとき、何て言うんだろうな? なんか、初めて見た気がしなくてね。もしかしたら、と思ったらどうやらハズレではなかったみたいだ。そういやアンタ、名前は?

エィビス:……エィビス。エィビス・クラーレル

ミズメ:ふーむ……聞いたことあるようなないような、ってところだな。

エィビス:……さて。自分が知っているのは先程言ったアズサという人間で、ミズメという名前には覚えがありません。

ミズメ:似ている人間と言ったのは?

エィビス:見た目と声ですねえ。口調や態度は似ても似つきませんね。

ミズメ:ふうん。……で、今、そのアズサさんは?







エィビス:お察しの通り、死にましたよ。それはもう、随分と昔に。

















posted by 黒鳥なしら at 00:00| Comment(0) | ししゃのはなし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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