2017年08月08日

贋具の塔<2.私怨の在処>



ゼノックス:じゃ、後はよろしく。





男:ああ、さっきの。君からも何か言ってもらえると助かるな。

セルグ:いや待て。そんなこと言われても何がなんだかさっぱり分からん。

男:彼が、引き受けた仕事をしようとしてくれないのだよ。

ゼノックス:おれが受けた憶えのない仕事をやれと言ってきて困る。

セルグ:……あれだ。仲介所行って確認してきた方が早いと思うんだが。

ゼノックス:だからどこの紹介だって聞いてるんだよさっきから。

男:請けてくれるなら教えると言ったが。

ゼノックス:ほら、この調子だ。めんどくせー。

セルグ:言っておくが巻き込まれてる俺の方が面倒くさいからな?





セルグ:そっちのアンタ、こいつは覚えがないと言っているし、アンタは紹介されたと真っ向から食い違ってるんだ。話が進まんからせめて先に仲介所の場所を教えた方がいいと思うぜ。

男:……。確かにこのままでは埒が明かないな。仕方ない。ダウンタウンだ。名前はよくわからなかったが場所は覚えている。金髪で頭の悪そうな男が店主の仲介所だ。

ゼノックス:知らねー。

セルグ:俺も分からん……つか、そんなトコに頼むなよ。とりあえず確認行ってこい。

ゼノックス:仕方ないか。はあ、めんどさ。

男:ちょっと、君も一緒に来てくれないか。

セルグ:は? 何でそうなる。

男:この人だけでは、会話が円滑に進むかわからないからね。

セルグ:……。





ゼノックス:……すまんが頼むわ。さっさと行ってさっさと終わらせようぜ、こんなわけわからんの。

セルグ:……。しゃーねえな、貸しにしとくぞ。

ゼノックス:悪い。助かる。

男:では、行くとしよう。







男:ここだ。

セルグ:……誰もいないな。しかしなんつーか……人、いないな。ホントにここ店なのか?

ゼノックス:……。

男:おいおい、冗談じゃないぞ。初めての方歓迎ではなかったのか。

セルグ:……裏の仲介所で初めての方歓迎とか嫌過ぎるだろ。そんなとこに頼むな。

ゼノックス:……んー。





セルグ:どうしたんだ、ゼノックス。

ゼノックス:ああいや、なんかここ知ってる気がするような。どうだったかな。こんなシケたとこ来たことあったかな。

ゼノックス:んー……。

ゼノックス:……。



ゼノックス:……ああ、そうかわかった。あのときか。





ゼノックス:うん。悪いが正直、ここはちょっとどうかと思うわー。

セルグ:何かあったのか?

ゼノックス:まあね。そういうわけで、残念でした。おれはここと関わる気はない。

男:何!? だったら、私の依頼はどうなると言うんだ。

ゼノックス:さあ? 諦めて他のところで依頼出したほうがいいんじゃない。

男:くっ……。

セルグ:そもそもなんでそこまでそいつにこだわるんだ。他にまともなのはいくらでもいるだろ?

男:受け手がさっぱりいなかったんだぞ。やっと引き受けてくれる人が現れたと言うのに。

セルグ:内容と報酬が釣り合ってねえんだろ。

男:何っ、これで安いと言うのか。どうなってるんだこの業界は……。





ゼノックス:……。んー。……。

セルグ:どうした、まだ何かあるのか?

ゼノックス:ああ。すまんが、ちょっと頼まれてくれないか。

セルグ:……何をだ?





ゼノックス:ちょっとそいつの仕事代わりにやって。

セルグ:……は?

ゼノックス:金は好きにしていいわ。

セルグ:待てコラ。問題はそこじゃなくてだな……。

ゼノックス:……言いたいことはわかる。おれも申し訳ないと思っている。だがおれの名前が使われてる以上、ここでこいつを切るのは少々まずい。信用に関わって今後動きにくくなる。お前さんなら信用の重要さが、わかるだろ?

セルグ:……そりゃ分かるし、お前に落ち度があるわけではないが……うーん……。





ゼノックス:おれはちょっとここの店主に用事ができた。そんなわけでよろしく。

セルグ:待て。こっちの都合も考えろ。大体引き受け先が見つからんような仕事とかあからさまに厄介事だろうが……そもそも、仕事内容は何だよ。

ゼノックス:なんだっけ。

男:人物調査だ。調べて欲しい人間が居る。

ゼノックス:ああ、そうだった。できることならまあ、めんどくさいがおれがやってもよかった。基本的に仕事にNOはないしな。しかし分かると思うが人物調査とか、おれにはできん。無理だ。

セルグ:それはわかるが……あー、もう……。



ゼノックス:それに、まあ。







ゼノックス:ここの奴に、どういうことか説明してほしいしな。

posted by 黒鳥なしら at 00:00| Comment(0) | 企画/連動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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