2019年10月07日

『ノーザリン岬における無差別連続殺人事件の一例』



その当時、ノーザン地方を震え上がらせていたのは。
ノーザリン岬における無差別連続殺人事件。
無差別というだけあって、被害者は老若男女問わず。
その死体はいずれも普通に斬っただけの傷跡ではなく。
そして眼が潰されていた。
辛うじて生き延びた目撃者は容疑者の容貌についてこう語った。(後に発狂死)

       鬼が出たぞ。
       白髪鬼だ。

※過激な表現があるかもしれません。


「遅くなっちゃったな。もう暗いし、寒い。急がないと」

その日はノーザンプロムナードに向かう途中であった。
日が落ちるのが早い冬、あたりは既に暗くなり始めていた。

しかし今日は一段と寒いな。

ノーザリン岬をダッシュで駆け抜ける。

さぁ、もうすぐ国境だ。



     ヒタヒタ。



ん。



     ヒタヒタ。



なにやら背後から不自然な音がする。

なんとなく、いい予感がしない。

少々スピードを上げる。





     ヒタヒタ。





音は不気味なほどしっかりとついてくる。



足を止めてみた。



音も止まった。



「……なんだろう」

音に対する、恐怖心と好奇心が入り混じる。

周囲はもう既に暗く、人影を感じることは出来ない。

雪がちらついているというのに、体中から噴き出す汗。



そうだ、走りながら後ろを見よう。



歩みを進めながら

少しだけ、と

振り向いてみた。




     ヒタヒタ。





そこにいたのは

素足で歩き

真っ暗な周囲に映える

白髪白羽の男。

その瞼は伏せられていて。



……やばい。



直感的にそう感じた。



足が止まっていた。



男と、目≠ェ合った。





「………うわぁぁぁあっ!!?」




やばい、やばいやばいやばいやばい。

弾けるようにその場から走り出す。

なんだあの男、目が



     ヒタヒタ。ヒタヒタ。



逃げろ。逃げろ逃げろ逃げろにげろ。



そうだ、国境近くに飛空庭を出してやり過ごそう。

あとは、警備員達がなんとかしてくれるだろう。



手荷物から起動キーを探り当て、取り出す。

上空から飛空庭の紐が降りてくる。

さあ、あとはこれを一気に登って



「庭が呼べて、安心した?」



あれ?

そこにいるのは、白髪白羽の。

なんで目の前にいるの?



まさか、さっき起動キーを捜した一瞬で?



聞こえる音は、ヒタヒタではなくギュイイイインという歯切れの悪いキカイ音。

そして自分の心音。



安心したって? そりゃするさ。庭に逃げ込めば勝ちだもの。



ああ、その五月蝿い音はその手の黒い得物から聞こえてくるのかな?





あははははははh










ギュイイイイイィィィィィィイイイン



ジャリジャリジャリ










ブチュ

posted by 黒鳥なしら at 00:00| Comment(0) | ┗ねくすと昔話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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