2017年12月21日

贋具の塔<6.2.塔と戦車の形勢観望>



ダルセージ:あーあ。初対面の人にお世話になるなんて、ほんと情けないな、俺。





セルグ:まあ、気にするな。しかし食っても食っても腹が減るというが、見た目によらず食べる感じなのか?

ダルセージ:そうだねー。控えなきゃと思っても美味しい物には負けるかなー。まあ、料理するのは好きだからいいんですけれどね。

セルグ:ふうん……何か大変そうだな、あんた。

ダルセージ:んー、それなりに大変かもね。そういや、自分が一緒にいて狼さんは大丈夫なんですか?

セルグ:ん、もう落ち着いてるから気にしないでくれ。あー、店あそこで良いか?

ダルセージ:何処でも大丈夫ですよー。何でも食べますから。









セルグ:適当に好きなもん頼んでくれ。

ダルセージ:ほんとにすみません。

セルグ:此方こそだ。

ダルセージ:えーっと1番安いやつ安いやつ……あ、カレー食べたいなあ。カレーいくらでも食べられちゃうんだよなあ。

セルグ:別に値段は気にしなくても良いけどな。カレーが好きなら別に良いが。

ダルセージ:そんなこと言ったら大盛りにしちゃいますよ?

セルグ:んや、別に大盛りにするくらい良いが。腹減ってるんだろ?

ダルセージ:いやいや、いくらなんでも冗談ですって。そりゃ腹は減ってるけどさー……気にしないでください。

セルグ:ま、こっちも吠えかかったりしたし気にすんな。すみません、カレー大盛りと珈琲を……あんたは飲み物どうする?

ダルセージ:あ、大盛りにされた。いやー、さすがに飲み物まではお世話になれないです。水あれば大丈夫ですよ。

セルグ:ほいさ、じゃあそれで。





ダルセージ:嬉しいなあ、いただきます。

セルグ:食うの早っ。……ホントに腹減ってたんだな。

ダルセージ:うん、正直言うとかなり減ってた。アハハー。ほんとにありがとうございます。はあ、情けない。

セルグ:んや、気にすんな。

ダルセージ:金がびっくりするくらい無いんだよねー。はあ。

セルグ:何かよく分からんが、若いのに苦労してるんだな、あんた。

ダルセージ:……。えーと、俺、やっぱそんな若く見えるの? よく言われるんだけど、これでも22歳くらいなんだよね、一応。

セルグ:……そうか、そりゃ悪かったな。

ダルセージ:いやいいよ、慣れてるからさ。ああ、いいよなー身長高くて。んでまあ、苦労というか何というか、欲しい物がいろいろあってね。

セルグ:欲しい物?

ダルセージ:まあちょっと、欲しい物とかやりたいことが多くて。食事は自炊できるからまだマシなんですけどねー。

セルグ:ふーん、趣味でも多いのか?

ダルセージ:趣味かー。お菓子作りは好きですし、アクセサリーとか服とかぬいぐるみ作るのも好きかな。あとは銃も好きなんで集めてるんです。装備条件を満たしていませんだとかで使えないけどねー。

セルグ:えらく多趣味だな、確かに金はかかりそうだ。

ダルセージ:今考えてみたら、金かかるもんばっかですね。調べ物もしなきゃなのになー。

セルグ:……調べものね。人探しでもしてるとか?

ダルセージ:人探し? 人探しかー……ある意味そうかもな。

セルグ:ふーん、しかし人の多いここで人探しは大変そうだな。どんなやつ探してるんだ?

ダルセージ:んー……。





ダルセージ:……うーん。笑わないでくださいね。俺、どうやら記憶喪失みたいで。自分のことなーんにもわかんないんですよ。だから自分を探してる、のかなあ。アハハー。

セルグ:……そうなのか。いや、笑わんさ。しかし奇遇と言うかなんというか……この間も記憶喪失の奴と関わったばかりなんだよな。あんたは問い合わせとかはしてみたのか?

ダルセージ:……は、え? 問い合わせ?

セルグ:評議会とか混成騎士団とかに。この辺の住民ならそれで身元が分かりそうなもんだが……してないってことはないよな?

ダルセージ:……? あ、えーと。してない、ですね。そんなのあるんだ知らなかった。その、問い合わせたらわかるもんなんですか?

セルグ:この辺の出身ならな。他の土地なら現地のでかい街行かないと無理だろうけど。

ダルセージ:ってことは最悪、東西南北全部回らないといけないのか。結構大変だなあ。

セルグ:何か名前とか身元がわかるものとかはないのか?

ダルセージ:……あー、名前……。えっと、それが何にもないんですよ。





ダルセージ:気が付いた時に手元にあったの、これだけなんです。

セルグ:んー……これは通常身元が分かるようにつけるものらしいが……なんだろうな、所属とかも書いてないし。えーと……e、d、o……A、b……これ最早文字の断片になってるな。……これを手掛りにするのはちと難しそうだな。

ダルセージ:そそ、元々何か書いてはあったみたいなんですけど、ほとんど掠れててわからないんですよね。でも自分の名前もわからないんで、ここから読み取れた文字を適当に組み合わせたのを名前として使ってます。

セルグ:そりゃ難儀だな……。そういやあんた何て名乗ってるんだ?

ダルセージ:あ、俺は、えーとなんだっけ……。ああ。ダルセージ・ソルビックって名乗ってます。すみません、自分で決めたのにいまいち覚えられなくて。

セルグ:ダルセージか。よろしくな。名乗り忘れてたが俺はセルグだ。





ダルセージ:セルグさん。こちらこそよろしくです。すみません、食事させてもらった上に話まで聞いてもらっちゃって。とりあえずそんな感じで、人探しというなら俺は俺を探してるかな。

セルグ:いや、食事は詫びだから。仕事柄人の話聞くのは割と好きだし、気にしないでくれ。……ああ、そういやさっき一応22歳くらいって言ってたが、それはどうなんだ?

ダルセージ:それねー。正直なんとなくそんな気がしてるってだけで、何でと聞かれたら俺自身はっきりとわかってないんだよね。だから一応22歳ってことで。

セルグ:……そうか。しかしそんな曖昧じゃ、あんまりあてにならなさそうだ。手掛りが全くないのは困ったものだな。

ダルセージ:手掛かり……そうだな、あとは……目が覚めたらでかい豆の生えてる塔のある島に転がってたってことかなあ。





セルグ:でかい豆? って事は天まで続く塔の島か。じゃあタイタニア界ドミニオン界の可能性もあるか。

ダルセージ:タイタニアかドミニオン……。うーん、なんとなくだけど……羽のある種族ではなかった、ような気はしてる。

セルグ:そりゃまあ、あるようには見えんが。もし千切れたとかでも痕くらいは残るはずだし。

ダルセージ:うん、やっぱり羽は無かったと思うんだよね。あとは……うーん……。やっぱこれ以上出てこないか。

セルグ:そりゃまた結構な手詰まりだな。名前も出身も不明じゃ、後はあんたを知ってる奴を探すくらいかねえ。

ダルセージ:思ってたよりどうしようもなかったな。アハハー。

セルグ:……記憶喪失、か。

posted by 黒鳥なしら at 00:00| Comment(0) | 企画/連動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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