2019年04月05日

贋具の塔<4.1.贋具の塔と蛇女[舞台裏]>



ダルセージ:(……化物になった時点で自我を失いそのまま処分されたのなら)



(それはとても幸せなことだな)








受付嬢:あぁそうそう、こういった現象に関してなら死霊術師ネクロマンサーの子の方が詳しいこともあるから、当たってみるのもありかもねぇ。これはオマケ情報よ。

ダルセージ:死霊術師ネクロマンサー、ですか?

受付嬢:ええ。良くも悪くも人体に詳しいし、裏でその手の如何わしいことやってる子も多いのよぉ。

ダルセージ:それなら……アルケミストギルドでは話が全然掴めないわけです。重ね重ねありがとうございます。

受付嬢:ふふ、頑張って探すと良いわぁ。

ダルセージ:ありがとうございました。では、これにて失礼いたします。





ダルセージ:(さ、帰ろう……って言いたいところなんだけど。なんか妙に疲れたな、滅茶苦茶疲れた。なんだこれ。ちょっとまずいな、人気のないとこで少し休むかー)

ダルセージ:(……え、やばい、お腹すいた、眠い。なんだ、これ。せめて、なんとか、人目のつかないところに……)

ダルセージ:(……。……。……)





受付嬢:さてさて、ふふふ……久々に面白い子見つけちゃったわぁ。随分たどたどしい術でついつい手を出しちゃったけど、さてどうかしらぁ?


















ダルセージ:……はっ、えっ……どこだ、ここ……。

ダルセージ:(身体に力が入らない……)





ダルセージ:あ、あれ、さっきのおねーさん?

受付嬢:あら、おはよう。此処はうちの事務所の一つよぉ。貴方が道端で倒れてたから連れてきちゃったのだけれど、大丈夫ぅ?

ダルセージ:そうだったのですか……ありがとうございます。あの後、少し体調を崩してしまいまして。まだ動けないみたいです。すみません、ご迷惑をおかけして。

受付嬢:私はたまたま見かけただけだから気にしないでぇ。動けるまではゆっくり休んでてねぇ。

ダルセージ:はい、ありがたくそうさせてもらいます。

ダルセージ:(……なんか違和感あるな、なんだこれ……。それに、さっきから力が全然入らない……)

受付嬢:……ところで、貴方。随分と雰囲気が変わっているけれど大丈夫なのかしらぁ?

ダルセージ:……え? ……ちょ、まさか……。

ダルセージ:     っ!!!!!





受付嬢:ふふ、さっきのお兄さんで合ってるわよねぇ?  変わった特技をお持ちだ事。

ダルセージ:……うわ、ちょ、いや、これは、あの、その……。

ダルセージ:えーと、まあ、その。適当に見なかったことにしてください。あははー。

受付嬢:うーん、その姿は中々忘れ難いと思うけどぉ?

ダルセージ:あははー……それもそうか。

ダルセージ:……退治とか、しちゃいます?

受付嬢:あらあら、貴方は退治されるような悪いことをした怖ぁいお人なのかしら?





ダルセージ:……良い人、ではないと思うよ。何人殺ってんのかなあ、こいつ。そういえば、子供も殺そうとしてたしな……。

ダルセージ:それにほら、これ。まるで氷みたいな肌でさ。どう見ても化物じゃん? 化物なら殺されても仕方ないかなーと。現に殺されかけてたことあるし。

受付嬢:ふふ、そうねぇ。珍しい見た目だし人によっては驚くでしょうねぇ。でも私は道端で倒れちゃうような子を怖いとか退治しなきゃとは思わないけどぉ?

ダルセージ:……。おねーさん変わってるねー。

受付嬢:そうかしらぁ? お仕事上いろんなものを見るからかもねぇ。

ダルセージ:なるほどなー。





ダルセージ:とはいえいくらなんでもこのままじゃ外に出れないし、お言葉に甘えて人間の姿になれるまで休ませてもらうね。

受付嬢:ふふふ、じゃあお姉さんとちょっとお話しましょうよぉ。

ダルセージ:えっ。まあ、喋るには問題ないから、別に良いけど。

受付嬢:うふふ、ありがとぉ。そうねぇ、好みのタイプはぁ?

ダルセージ:えっ。うーん……ちっちゃい子かなー……って、何言わせんのさ。言っとくけど身長低い子って意味だからね。俺が身体大きくないから。

受付嬢:あら、気にしてるのかしらふふふ。今はそうでもないみたいだけどぉ。

ダルセージ:まあ、これはねー……。これでもまだ半分くらい人間要素残ってるからな。全部解除したらもっとでかいよ。てか、こっちがでかくって意味ないじゃん。やだよ俺。

受付嬢:あらあら、どのくらい大きいのかしらぁ。此処は今誰も来ないから解除してしまっても良いのよぉ?

ダルセージ:やめとくー。マジでただのクリーチャーだからあんまり見せられるものじゃないし。おねーさん慣れてるみたいだけど、やっぱあんまり女性が見るものでもないと思ってるしね。

受付嬢:紳士さんなのねぇ。ならこの話はやめておきましょうか。





受付嬢:……少し気になったのだけれど、貴方は元からそちらの姿なのかしらぁ?

ダルセージ:いやちょっと待って、何してんの、いやほんとに何してんのかなーおねーさーん。

受付嬢:ふふ、何してると思う? まぁ女の気紛れとでも思っておくといいわぁ。

ダルセージ:……。なんかこう、この身体すごい硬くて冷たくない? 足痺れたり冷えたりしたら止めて良いからね。足冷やすと良くないし。

受付嬢:うふふ、ありがとぉ。優しいのねぇ。

ダルセージ:いやいや普通でしょ。それでえーっと、さっきのはどういう意味で?

受付嬢:あらぁ、そのまんまの意味よぉ?

ダルセージ:そのまんま……んー。元から、ではないかなあ。

受付嬢:昔は違ったってことぉ?

ダルセージ:うん。信じてもらえるかわかんないけど、俺、これでも元々は普通の人間だったんだよね。捕まって、薬盛られて、こんな化物になってたの。

受付嬢:あらあら……そうだったのねぇ。

ダルセージ:たまたま助けてくれた人から人型変化を教えてもらってさ。多分あれが人間だったときの見た目……なんだと思う。

受付嬢:随分自信が無いのねぇ。

ダルセージ:あれ、言ってなかったか。俺、記憶喪失みたいで本名とか何処から来たのかとか、化物になる前の自分のこと何も覚えてないんだよ。

受付嬢:随分と自分の話を他人事のように言う子だと思っていたけれど、そういうことだったのねぇ。

ダルセージ:え、俺そんな喋り方してるかなあ? 自分じゃよくわからないからな。

ダルセージ:まあそれで、人型変化を教えてくれた人が「潜在意識領域という、本人が忘れていても記録されている部分が捻り出した姿だろうから多分合ってる」って言ってたから、それ信じることにしてるんだよ。

受付嬢:そうねぇ……そうかもしれないわね。





ダルセージ:……さっきの依頼の話なんだけどさ。

ダルセージ:俺のためなんだよね。薬が欲しいってやつ。

ダルセージ:『人を化物に変える薬の研究を行い、その機序・原理を解明して自分に使うこと』が目的なの。

受付嬢:そう。貴方はヒトに戻りたいのねぇ。

ダルセージ:……たぶん。自分の名前、家族、友達、なんでこんなことになってるのか……人間に戻れたら、思い出せるかなって。

ダルセージ:人間の姿してるのも意外としんどくてさ。いくら食べてもすぐ腹減るし、いくら寝てもすぐ眠くなるの。まともに活動できない。こっちの姿ならそんなことないのに。

受付嬢:ふぅん、燃費が悪いのかしらね。貴方の変化は無駄が多そうだしぃ、魔力も漏れてたからぁ。

受付嬢:……エネルギー自体が足りてないんでしょうね。まぁあんなヒトの子供の身体にを詰め込めるだけ詰め込んだら、消費量も上がって当然よねぇ。

ダルセージ:詰め込めるだけ……? って、何? なんのこと?





受付嬢:貴方をこうした誰かさんが自分の考えを限界ギリギリまで貴方に詰め込んだって意味よぉ。

ダルセージ:……それって……何か目的があったってこと?

受付嬢:ただの推測だけれどねぇ。人から作るには中々無謀そうだけどぉ……目的がなければもっと散らかった感じになりそうだし、たぶん大きく間違ってはないと思うわよぉ?

ダルセージ:……目的、か。

ダルセージ:……。

ダルセージ:……天使さま奈落を打ち消せ我らが楽園……。

受付嬢:あら、なぁにそれ?

ダルセージ:……なんだろうね。目が覚めたときに、周囲から聞こえてた言葉だよ。

受付嬢:……ふうん。ちょっと意味は掴めないけれど。でもそうねぇ、随分と怒りを買いそうなこと

ダルセージ:……何か心当たりでも?

受付嬢:ふふ、どうかしらね。ただの推察だからぁ。私は何かしらの指向性は感じるけど、偶然にも思えるしぃ。貴方と同じ子は見たこと無いしねぇ。他に何か覚えてないのかしら?

ダルセージ:……他……。

ダルセージ:……。……白い羽

ダルセージ:……金の髪蒼の瞳白い建物

ダルセージ:記憶にある最後に見た景色が、白い建物と、俺を拘束する白い羽を持った人達だった。

ダルセージ:それくらいかな。

受付嬢:ふうん、とりあえず場所はタイタニア界ってことかしらねぇ。あそこはよそ者が立ち入れない場所も多いから、貴方がどうしてそんな所にいたのかがまず疑問になるけれど。

ダルセージ:そうなんだよね、そしてそこは覚えてないんだよねー。

受付嬢:でしょうね、面白そうな話ではあるけど。

ダルセージ:ごめんよー。





ダルセージ:……すっかり色々話しちゃったな。聞いてくれてありがとね。

受付嬢:ふふ、楽しかったしそれくらいはいいわよぉ。何なら食事も運ばせましょうか?

ダルセージ:そこまでしてもらうわけには……うーん、水のが欲しいかな。この身体は水あれば十分みたい。ああでも休みたいかな。

受付嬢:あぁ、そうなの。じゃあ用意させておくわ。眠いなら無理せずお休みなさいな。

ダルセージ:うん、ありがとー。おやすみー。

受付嬢:ゆっくりしていってねぇ。

受付嬢:……本当に詰め込んだこと。







ダルセージ:(……それにもし、今はまだ保ててる俺の意識が吹っ飛んだら)

ダルセージ:(また人を殺すだけの怪物に逆戻りするだろう)

ダルセージ:(倒す方法が無い、死ぬことの無い……)

ダルセージ:(そうなるくらいなら俺は死にたい





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ダルセージ:……はあ。予想外に時間食ったなあ、やっと動けるよ。とりあえず次のこと考えないと……。

posted by 黒鳥なしら at 00:00| Comment(0) | ┗贋具の塔 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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